バングラデシュのホルタル(ハルタル)について。
バングラデシュで経済活動、生活をされる方にとって極めて影響を受ける「ホルタル(ハルタル)」という活動を説明いたします。
ホルタルと言うのはいわゆる「ゼネラル・ストライキ」に当たる活動で、主にインドやバングラデシュ、スリランカやネパールなど南アジアで行われる政治活動の一環です。
地域ごと呼び名は違いますが(例えばネパールでは「バンダ」と呼ばれる)、目的はたいがい「時の政府に対しての反対活動」を行う事です。
この活動の主な方法は、「商店や学校、オフィスなどの機関の活動を停止せよ」「列車やタクシー、電動式の乗り物の通行を自制せよ」というものです。
これはホルタル賛同者だけでなく、普通の住民にも影響が出ます。
このホルタル宣言に反して、「事業の運営」や「バスなどの運行」を強行すると、ホルタル賛同者から強力な妨害行為を受ける事もしばしばです。
時には「放火」や「投石」などの手段に出るホルタル賛同者もあり、結局ホルタルの賛同者でない者も商店を閉めたり、バスの運行をやめたりする事が多く、結局は大きな範囲でのストライキに拡がってしまいます。
政府事務所や、政党事務所が集積する地域ではシュプレヒコールを上げた行進などが行われ、たびたび警察との衝突も起こります。
渋滞の激しいバングラデシュの首都ダッカでも、この日に限っては道路も交通がほとんどありません。
かといって、車などで動こうとするとホルタル賛同者からの襲撃がある可能性があり、動けない状況です。
もちろん運輸もストップするため、経済人にとっては大きな痛手となる政治活動です。
もともとはイギリス統治下にあったインドでマハトマ・ガンジーがイギリス政府に対して提起した「非暴力・非協力」という静かなる反対運動でしたが、最近では上記に掲げたように「強制的なホルタル賛同」を求められ、決して「非暴力」とは言い難くなってきました。
また政府への反対勢力も、選挙が近付くにつれてホルタルの連発を宣言する事もあり、日本人を含む外国人の経済投資家からは疎まれる活動の代表的なものです。
現在、会社や商店によってはホルタル賛同者の影響を受けない程度に活動をしているところもあります。
例えばバングラデシュの場合、リキシャなどの人力移動手段であれば襲撃される事もないため、従業員は時間をかけて通勤したり、また外国人街であるグルシャンやバリダラ、ボナニ地区などは政治の中心街から離れているため、さほど大きな影響が見られません。
しかし用心に越した事はない部分もあります。
従業員によっては「ホルタルだから休みます」というサボタージュを行う者もいますが、バングラデシュの労働法では「ホルタルを休みと認める条項」などはありませんので、休日にした場合は他の日を振り変えたとしても労働法的には問題がありません。
結局は事業管理者の判断によるところが大きいです。
まだまだ経済的発展途上である南アジア諸国ですが、こういった政治行為も「話し合い」と「妥協」という大人な解決法が見られない状況にあります。
海外に進出する企業には、どこの場所でも自国とは違う「負の側面」が存在しますが、南アジアではこの「ホルタル」もその一つでしょう。