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バングラデシュにおける手食文化と「手で食べる方がおいしい」わけ。
バングラデシュに来訪して、一番「異国」を感じるところはどこか? そういう事を尋ねると、やはり日本人にとって一番最初に印象的な事は「アザーン」「手食文化」が出てくるでしょう。 イスラム文化では欠かせない「アザーン(礼拝呼びかけ)」の声は、バングラデシュに降り立ってすぐに耳元に届く「異国文化」の象徴かもしれません。 細かく言えば、モスク(イスラム教礼拝所)などの内部では、より「異国文化的な礼拝」が行われていますが、非イスラム教徒では礼拝の状況を興味半分に覗き込むことは少し憚られる印象がありますが、「アザーン」に関しては、モスクに入らずとも、耳をふさごうが入ってくる「異国文化」です。 それと共に「手食文化」もそれに当たるでしょう。 「手食文化」自体は、決してバングラデシュなどのイスラム圏だけでなく、アフリカやオセアニア、東南アジアの一部も行っており、世界の中では「箸文化」よりよっぽどメジャーです。 「お客様を招く事」が多いバングラデシュでは、現地で知り合った方との食事の際や街中でも、この「手食」を頻繁に見かけます。 日本人にとっては決して行儀のよいものではない「手食」 最初は嫌悪感や、一種の罪悪感に近い感情、不潔なイメージが出てしまうかもしれませんが、是非一度「トライ」してみることもお勧めします。 一緒に卓を囲んでいるバングラデシュ人にとっては「我々の文化を受け入れようとしてくれている」と、一気に距離感が縮まることも請け合いです。 バングラデシュ人は決して「ナイフ・フォーク」が使えない方ではありません。 都市部では中華系料理店も多いので、箸での食事に慣れている方もいらっしゃいます。 なのに、あえて「手で食べる」 その理由に彼らは「手で食べる方がおいしい」という言い方をすることが多いです。 さて、日本人にとってはあまり馴染みがない、「手で食べる方がおいしい」という感覚。 本当でしょうか? これは私見になりますが、実際バングラデシュではそう思うことがあります。 私自身、日本人として最近分かってきた「手で食べる方がおいしい」という感覚。 どちらかというと私にとって「鉄製品の味がするような気がする」という方が、良いかも知れません。 日本人である私に配慮して、様々な場所で「ナイフ・フォーク・スプーン」など出して下さりますが、なぜか若干「食器の味」がするような気がするのです。 私だけでしょうか? 一度気になり始めたら、なかなか払しょくできないその感覚。 それを元に考えると、結論的に「手で食べる方がおいしい」というところに至るのです。 もちろん副産物的な感覚で「バングラデシュの食べ物は骨が多くて食べにくい」というところも、手で食べるうえで「便利なところ」ではあると思います。 しかし、こと「おいしいか」という事になると、この「食器の味」がするような気がする、というのが大きいような気がします。 これはもしかしたらバングラデシュの「食器の材質」にも理由があるのかもしれません。 またバングラデシュという雰囲気の中で感じる「気のせい」の一種かも知れません。 もちろん日本の食器には感じたことのない感覚。 もしかしたら私と同じ感覚を持つ外国の方もいるかもしれません。 ゆえに私にとって ”バングラデシュにおいては「手で食べる方がおいしい」” というのが結論です。
ダッカ市内の移動、そしてUber(ウーバー)について
「バングラデシュが観光に向かない」「移動が大変だ」などと言われる一因に「公共交通の貧弱さ」があげられると思います。 現在、建設計画が進んでいるものの、国の玄関口である国際空港と市内の公共交通機関も、バングラデシュに不慣れな外国人には「皆無」といえる状態です。 空港内から施設外に出るときに「タクシー!タクシー!」と呼びかけるタクシー会社がありますが、基本的にボッタクリ価格(市中までおよそ900タカ前後。さらにエアコン車を要求しても勝手に変えられ、降車時にチップを要求)であり、バングラデシュ来訪後さっそく嫌な気持ちを持つ人も多いです。 かといって空港外に出て、市内へのシャトルバスもありません。 市内へのバスはローカルバス、鉄道はローカル鉄道になり、言葉も通じない方だと市中に出るだけでかなり労力をすり減らします。 知り合いが迎えに来たり、レンタカー契約があれば迎えに来てもらえばそれがベストですが、そうでない場合では何がベストな方法なのか? 単純ですが、それはやはり「宿泊先に迎えに来てもらう」というのが安全で、確実な方法かと思います。 バングラデシュのホテル、特にダッカ市内はそのほとんどのホテルが「送迎サービス」を行っています。 金額も空港ターミナルのタクシーサービスを使うことを考えれば同等でしょう。 バングラデシュに不慣れな方は、是非上記の方法をおすすめします。 さて市中に出てからも「移動」というものは付きまといます。 通称CNGと呼ばれる緑色の三輪タクシーが中距離、そして近距離はバングラデシュ名物「リキシャ」が主な移動手段でしたが、そこに分け入ってきたのがアメリカ発の配車サービス「Uber」です。 バングラデシュでもそれまで「タクシー」と言うものは存在していましたが、もともとタクシーというのはボロボロのエアコンのない車体、乗車前交渉は当たり前でありCNGとさほど変わらなく、暑いときには逆に苦しいものでした。 それが4年ほど前から、いくつかの大手タクシー会社がタクシー環境改善に乗り出し、主に黄色い車体でダッカ市内を走っていました。 運転席の裏には「もし運転手が悪い、チップを要求されたなどあれば是非ご連絡ください」などとボードがかかっており、それなりに信頼して任せられましたが、それでも運転手が「チップ」を要求する事がまん延したり、大回りなどがありフラストレーションも溜まっていました。 そこに来て2年ほど前からアメリカ発の「Uber」がバングラデシュでサービス開始。 当局より「白タク」と認知され、タクシー業界の反発もあるようですが、今のところサービスは継続しているようです。 私も早速使用してみました。 「Uber」というと事前にクレジットカードを登録し、料金支払いは不要な国が多いですが、バングラデシュではその場で現金で払うことができ、急にバングラデシュでUberを使う事になってもダウンロードし、すぐ使える状態です。 あとは自分の乗車希望位置(現在地)と、目的地を入力するだけ。 簡単です。 目安の金額が表示されてそれに了承すれば、近くにいる車も表示されます。 ドライバーには「レーティング」が表示され、優良なドライバーを自ら選ぶことができます。 私が使った場合は、携帯電話番号も登録していなかったため、ドライバーが私に電話したくてもできない状態でしたが、それでも迎えがきました。 初めてのUberであると、その降車時に「チップの要求」や「請求の割り増し」も想像できましたが、バングラデシュでは珍しいくらいに全くその話がありませんでした。 逆に降車時に「評価をGoodにしておいてくれ」と言われるくらいです。 これはバングラデシュ滞在が長い私にとっては「目から鱗」 この「レーティングシステム」、いわゆる「評価制度」というのは使用者や購入者にとっては、安全で確実なサービスを受けられ、大手タクシー会社の配車よりも信頼性がおけます。 日本のように、「どの金額を払っても、一定のサービスが受けられる国」というのは非常に少ないです。 そういう国でこそ、この「レーティングシステム」は非常に信頼性が高いものになることを感じました。 バングラデシュに慣れている方も、また市内での移動に困っている方も一度使ってみてください。 (まだバングラデシュ全土ではサービスが広がっていないため、主に『都市部』での利用をイメージください)
2018年、あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます。 2018年も明け、早速仕事始めになります。 バングラデシュでは「西洋暦の新年」に当たる1月1日はさほど重要視された日ではなく、バングラデシュで「新年」というと4月14日に祝われる「ベンガル暦新年(Pohela Baishakh)」の方が現地の方にはしっくりくるでしょう。 しかし昨今では若い世代を中心に、「西洋暦の新年1月1日」も祝われる傾向があり、首都ダッカでは多少なりとも打ち上げ花火が上がったり、町から「happy new year」の声も聞こえることが出てきました。 しかしどちらかと言えば、日本人にとってのハロウィンやクリスマスのように、純粋に祝う気持ちよりも、「イベント的要素の祝い方」に近いように見えます。 とは言っても、バングラデシュでは国教がイスラム教であれ、クリスマスや仏教の祝日も祝うように、比較的イスラム教以外の文化にも寛容な側面もあります。 今後は「西洋暦の新年1月1日」のイベントも多くなると思われ、また同時に日本のように「自国の文化をないがしろにしている」という年長者や愛国者による「揺り戻し意見」も出てくるのでしょう。 どちらにせよ、昨今は「情報のボーダーレス社会」です。 新しい世代が、外の世界から取り入れた新しい文化を作っていく波は避けられないのだと思います。 さて、それと同時にバングラデシュでは年明けから大寒波に見舞われています。 バングラデシュでの大寒波と言っても、他国のように「マイナス数十度」などの話ではなく、「摂氏一ケタ」程度の話ですが、同じ「摂氏一ケタ」でも日本のそれとは大きく違います。 なにしろバングラデシュではそのほとんどのモノが「寒いとき」を想定しているわけでなく「暑いときにどのように涼しむか」を基本としています。 日本では「南向きの部屋」が好まれますが、バングラデシュでは「直射日光を避ける北向きの部屋」が好まれるのもその一端でしょう。 家屋も基本的に「断熱材」というものはなく、レンガの壁は外気の寒さを直接部屋の中に入れます。 床も石造りが多く、足元から寒さが登ってくるようで、我々日本人にとってもバングラデシュの寒さはとても寒く感じられます。 風がないだけで、部屋の中にいてもほとんど外と変わらない状況です。 市場には昨今ようやく「ヒーター」も出回り始めましたが、現地の方にはまだあまり浸透もしていないようです。 人々は厚着をして、また路上でたき火をしながら暖をとっています。 身体の芯から温めようと、町では若者が「バドミントン」をして暖を取るのを見るのも風物詩です。 またシャワーも冷水中心が多いので、バドミントンで汗をかきつつ、シャワーを浴びない人も多いため、若干「体臭」がひどく感じられるところもこの時期です。 報道によると、バングラデシュ最北西部ロングプール管区の村では昨日摂氏2.6度まで落ち込み、子供を中心に死亡者や病院に駆け込む事態にもなっているようです。 ここまでくると、なかなか許容できない範囲になってきますので、恒常的な対策も練っていかなければならないでしょう。 バングラデシュに対しては日本の報道ではこのような厳しいニュースや、「ロヒンギャ問題」のような世界的問題しか取り上げられない部分もありますが、今年も大小バングラデシュの話題を取り上げていこうと思いますので、よろしくお願い致します。
バングラデシュでは2017年の犠牲祭が始まります。
2017年8月14日 バングラデシュでは今週金曜日から「犠牲祭」が行われます。 この時期は、2か月ほど前の「断食明けの祝祭」と同様にイスラム圏の最大の祝祭の一つになり、バングラデシュでも盛大に祝われます。 犠牲祭というとバングラデシュでは主に「牛」や「ヤギ」などが神にささげられるため屠られますが、それが田舎のみならず首都のいたるところでも行われるのがバングラデシュの特徴です。 イスラム圏でも多くの国がありますが、最近ではある国では「犠牲祭用の祭壇」をわざわざ設けて捧げられ、市中で見られないところも多いですが、バングラデシュではまだまだ家庭での儀式が行われることが多いです。 さて一見残酷に見える「犠牲祭」ですが、我々のような日本人が普段目にしていないだけで、動物の食品加工過程ではもちろんどこかで行われている事です。 バングラデシュでは子供たちも小さいころからこのような風景に慣れ親しんでいるため、残酷な感覚というより「厳粛な気持ち」で迎える事が多いです。 イスラム暦は日本で使われる西洋暦より10日前後毎年早くなるため、例年「夏真っ盛り」に行われるこの行事ですが、たとえ残酷と見える光景であっても是非「厳粛な気持ち」で参加されることも良い事かと思われます。
バングラデシュでの衣料品・アパレル製品製作のメリット&デメリット
バングラデシュは現在、中国に次いで「世界第二位の縫製大国」になります。 国の基幹産業としての縫製業、アパレル関連事業の取り組みも進んでいます。 なぜバングラデシュがこれほどまでのアパレル大国になったのか、それは単純な話ですが「人件費の安さ」と「縫製インフラの整備」に起因することが多いでしょう。 すでに何年もアパレル・縫製業会をけん引してきた中国は、「人口減少」と「経済発展による人件費の高騰」が向い風となって、製造メリットを失いつつあります。 そこにインドネシアやベトナム、カンボジアなどの新興国が徐々に台頭してきましたが、一歩抜け出した感があるのが「バングラデシュ」です。 北海道の2倍にも満たない土地に1億6000万人を超える人口大国 慢性的な就業供給不足による、アパレル・縫製業界への就業人口集中 平均賃金がネパールに次いでアジア内で下から2番目。 アジア最低賃金のネパールに比べ、海に面しているため海運輸送による輸送コストメリット 日本政府が発展途上国援助のために「特恵関税」を用いており、適切な書類を提出すれば関税がかからない。 アパレル産業が基幹産業の為、縫製機械や縫製工場、検品機関などの製造インフラが確立済 上記のようなメリットがすでに存在しています。 同時にデメリットも表記しないとフェアではありません。 適切な原材料(生地)が現地に無く、輸入に頼る場合も多い。 日本語話者が少ないため、パートナー会社への説明に労する。 縫製工場だけで4000社以上あるため、どの工場が自社にとって適切であるか見極めにくい。 納期を多めに見ないといけない。 などがあります。 デメリットを見ると分かるように、やはり日本企業にとって一番重要な部分は「いかに適切なパートナーを発見するか?」にかかってくると思われます。 私たちは、すでに日本向け衣料品販売会社に何度もバングラデシュ製品を卸し、また注文を重ねて頂いております。 ぜひご相談ください。
バングラデシュにおけるODA案件に関してのサポート
日本からバングラデシュへのODA(政府開発援助)案件がとても多くなっております。 しかしバングラデシュの現地事情に精通した日本人人材が少なく、情報収集に苦慮されている方も多いのが確かです。 その状況を鑑み、当方は下記のサポートでODA案件のスムーズな履行に寄与します。 現地通訳派遣 バングラデシュ人材の紹介および派遣 バングラデシュ現地パートナー会社紹介 日本人駐在員滞在サポート レンタカーサービス バングラデシュ赴任前講習 ご不明な点などありましたら、いつでもご連絡ください。
バングラデシュの現在の治安について
2016年8月22日 2016年7月1日未明に起きたダッカ市内に於ける「カフェ襲撃テロ事件」はバングラデシュに駐在員を置く我々にとっても大きな衝撃であり、悲しみにくれるニュースでした。 バングラデシュは親日的である、という事だけで今後のバングラデシュの治安を以前のように捉えるのは難しいのは確かです。 心の底では、「バングラデシュはみな親日的です。安心してください」と言いたいところですが、このような事件が起こってしまった以上、バングラデシュに長年携わってきた我々も考えを変え、いかに自分たちの身を守っていくか、という事を発信するのも義務であると考えました。 さてテロ後のバングラデシュ国内の様子ですが、治安当局は国内の危険人物への徹底的な摘発が起こっています。 この中には、もちろん当局による過剰な対応も含まれている可能性もありますが、とにかく現在は「手あたり次第」という印象を市民に及ぼすほどの状況です。 バングラデシュで携帯電話番号の国内SIMカードは比較的安価に入手できるものであり、一人で2枚も3枚も所有する人がいましたが、先日のテロ以前から新規SIM購入者はもちろん、既存のSIM購入者すべて(外国人含む)は指紋提出が必要になり、現在は有効に動くSIMが激減した、という情報もあります。 また国内情勢に伴い、バングラデシュ国内では何度かSkypeやWhatsapp、LINEやViberなどのインターネット通話アプリに制限がかけられたことがありました。 それを考慮すると、バングラデシュ当局は上記のような通信アプリに関しても制御ができる環境であると思われます。(ただし上記のような通話アプリはそのテキストが暗号化されていることがほとんどなので、それを平文で読み解く事は難しいかと思われます。) 国の発展の為、海外の支援や投資を誘致したいバングラデシュ当局としては、今回のような「外国人を標的にしたテロ行為」というのが最優先に排除したい問題であると思われます。 その上で、当局の上記のような対策は「過剰である」という声も聞かれますが、容疑をかけられる対象でない限りは、取り締まりの強化は今後も望まれるところでしょう。 さてその上で我々のような外国人が今後このような事態に巻き込まれないためにどう行動すべきか、を下記に羅列いたします。 欧米人の出入りする飲食店およびマーケットなど民間施設への出入りを極力避ける。(こちらのブログはオープンなブログですので、特定の店に関しての明言は避けますので、必要な場合は個別にお尋ねください) 外出には極力、車もしくはレンタカーを使用する。 金曜日の行動は極力注意する。(渋滞の多いバングラデシュに於いて金曜日は非常に動きやすい日ですが、ここまでのテロ行為をみると金曜発生が多いです) 現地の文化を尊重した衣服、振る舞いを行う。 極力、同じルーティーンでの行動はとらない。 とても基本的な事ですが、再度このようなことを一つ一つ認識して、我々外国人はあくまで「バングラデシュ人の国にお邪魔している」という意識を再度認識するべきかと思います。
ダッカにおける人質事件に関しての見解
すでに多くの方が周知している事件ですが、バングラデシュ首都ダッカにおいて日本人を含む人質事件が発生。 残念なことに7名の日本人を含む、多くの犠牲者が出る結果になりました。 現場である「Holey Artisan Bakery」は2年ほど前にできたばかりのイタリアンをメインとしたレストランで、店内にベーカリーも併設、日本並みの価格帯の食事でバングラデシュの生活基準からは大きくかけ離れているものの、芝生広場など敷地を贅沢に使った落ち着いた場所です。 その金額から、バングラデシュでも特にダッカ在住外国人もしくは現地富裕層に客層が限定され、当機構駐在員も何度も足を運んだ場所になります。 「グルシャン2」と呼ばれる立地自体も首都ダッカの最高級住宅街であり、その住宅街の突き当り、となりに静かな湖もあります。 このレストランはダッカ在住外国人に有名で、世界最高の人口密度と言われるダッカの喧騒を離れることができる場所として毎日のように外国人が訪れる事で有名でした。 今回の犯人は、おそらくその事情を知ったうえで、明らかに「外国人をターゲット」とする犯行を企てたものだと思われます。 バングラデシュではここ数年、政情不安が続き危険度が上がっており、昨今のイスラム国の台頭以来、政情不安にプラスする形で、毎週のように「国内の異教徒」に対するテロ行為が続いていました。 事件前日も、ダッカ西部ジュナイダ県において少数派ヒンズー教徒が殺害されるという事件があったばかりでした。 しかし、どの事件も「国内の異教徒」をターゲットとしたものであり、今回のような「外国人をターゲット」とするものは想像はあれ、現実的な話として予期できなかったのが正直な思いです。 バングラデシュを含めイスラム圏では、現在約1か月に及ぶラマダン月(断食月)が佳境に入っており、7月5日前後に「断食明けの祝祭(イード・ウル・フィトル)」が祝われる予定になっておりました。 こちらの記事で何度も記したように、イスラム教徒にとって「ラマダン月」はただ単に「断食をする時期」という訳でなく、大切な宗教的行事であり、「ホーリー・ラマダン(聖なるラマダン)」と言われ、1年の中でも特に「宗教観の高い時期」になります。 この宗教観の高い時期に、何かしらその宗教観を曲解したテロに近いことがある可能性を考えて、「十分注意した行動を」というインフォメーションが在バングラデシュ大使館から流れていたものの、それが現実の形になったことは、バングラデシュと日本をつなぐサポートをする我々もショックを隠し切れません。 当機構駐在員は、休日だったために自宅で過ごしており、夜分大使館から一斉送信される危険情報を確認し、その後は外出をすべて控えており無事です。 事件は日を跨ぎ、朝方に現地当局の突入があり収束しましたが、残念なことに日本人を含む多くの被害者が発生しました。 すぐにバングラデシュ現地パートナー企業などから安否確認の連絡があり、その誰もが「バングラデシュでこのような事件が起こったことは想像できない。被害にあった日本人、外国人に対して大変申し訳なく思っているし、あなた達と同じように心を痛めている」という言葉をもらっています。 今回の被害は決して「日本人をターゲット」にしたものではありません。 「外国人をターゲット」にした犯行現場に、たまたま日本人が遭遇してしまった不運な状況になります。 バングラデシュは親日国で知られており、比較的外国人にも安心できる国の一つでした。 しかし上記に上げたように、イスラム国の台頭以降、バングラデシュ国内におけるある一定の人たちは、イスラム国の理念に勝手に共感し、シンパシーを感じて行動を起こしています。 バングラデシュは、日本を超える人口1億6000万人の「人口大国」です。 日本国内でも様々な考え方があるように、これだけの人口を抱えている以上、ある程度の「過激思想」を持つ人が一定数存在するのは否定できません。 インターネットの普及と、それに伴う思想の伝播で、「この事件のような可能性」を否定できる国はすでに無くなったのかもしれません。 それでもなお、生活やビジネスは通常に行わなければならない、難しい時代に入ったともいえるでしょう。 我々は、経験豊富な現地日本人駐在員を有し、バングラデシュの事情のしっかりした把握に努めております。 卑劣なテロに屈せず、日本とバングラデシュとの企業連携サポートをこれからも行っていきます。 最後に重ねてお伝えしますが、多くのバングラデシュ人は日本を愛し、日本人を愛しています。 バングラデシュ人の誰もがこの事件に、日本人同様に胸を痛めている事をお伝えいたします。
ラマダンとバングラデシュ
2016年5月30日 「ラマダン」、いわゆる断食月が今年も始まります。 「ラマダン」というのは、「断食」を意味するものではなく、あくまで「イスラム暦の9月の名前」であり、「断食を行う月」と言った方が良いかも知れません。 この月に約一か月ほどイスラム教徒は、おおよそ「日の入りから日没」まで多くの人が飲食はおろか、敬虔なイスラム教徒は唾さえ飲み込まない絶食をしています。 イスラム暦は太陽暦のように「うるう年補正」を行わないため、西洋暦に対して毎年10~11日前後早まっていく傾向にあります。 この起源ですが、諸説あります。 「貧しい人の生活を体現するため」 「イスラム教布教時の苦難を追体験するため」 「世俗から離れ、神への献身と奉仕に尽くすため」 それぞれのイスラム教徒ごとに考えがあるのでしょう。 病人や妊婦、肉体労働者や外国人は断食をしなくてもよい、となっていますが、最近は子供たちも断食に挑戦している子たちも多いです。 我々外国人も、「断食しなくてもよい」と言われていますが、できる限り「人前での飲食は避けるように」心がけてください。 日没の断食明けの食事は「イフタール」と呼ばれます。 バングラデシュで伝統的なものは写真のようなもの。 グリーンチリやナスの揚げ物、ムリと呼ばれるポン菓子のようなお米を揚げたものやジラピと呼ばれる小麦粉の砂糖揚げなど、若干脂ぎったものが出されます。 外国人でも地元の方々に「お呼ばれ」することが多いと思います。 最近では「イフタール・ディナー」と呼ばれるセットメニューをレストランで出しているところも多く、そこでは普段とは違うスペシャルメニューが用意されています。 「ラマダン」と呼ばれる断食月は、決して「苦行」と考えられるネガティブなものではありません。 「ホーリー(神聖な)・ラマダン」と呼ばれるほど、イスラム教徒にとっては「神聖な月」と位置づけられているものです。
「地獄の沙汰も金次第」バングラデシュの囚人事情
2016年5月17日 ほとんどの人には全く関係ない話、しかし興味深い話が「バングラデシュの囚人の生活」 本日付の英字紙「デイリースター」に、バングラデシュの囚人が収容中にかかる費用が1か月最低でも3万タカ、という話が出ていました。 どこの国でも、囚人の生活は「税金」を基に負担されますが、バングラデシュの牢屋でかかる3万タカは、いわゆる「裏金」です。 3万タカは、首都ダッカ市内で1か月家族生活できる金額であり、牢屋での生活はそれよりも高い、との話です。 これは誰に払うか、というと同じ牢屋房にいる長期受刑者を代表する、いわゆる「牢屋主」 牢屋主は、収容所の管理官に「別の収容者の面倒を見るように」と暗に伝えられ、またおそらくこの牢屋主と管理官は裏でつながっていると思われます。 30000タカのうち1万6000タカはまず囚人が「安全に、トラブルなく就寝できるスペースの確保と食事、トイレ、水の確保に掛かるお金」だそうです。 また残りの1万4000タカは、食事に追加される「たまご」や「魚」「肉」などの費用だそうです。 またこの3万タカは、いわゆる「最低金額」であり、そのほかの費用は全て「別途」との事。 別途費用の一例が記載されています。 家族との面会に300タカ~1500タカ、家族が1000タカを囚人に送った場合は200タカが別途収容所の管理官に行くとの事です。 現在、バングラデシュの牢屋に何人かの「外国人」も収容されているという事を聞いています。 「地獄の沙汰も金次第」とはよく言ったもので、バングラデシュでもそれは変わらないようです。