なぜ今、バングラデシュ?
バングラデシュの人口は1億6000万人(2011年調べ)を超え、国土に占める人口密度はアジアの中はもちろん、世界で最も高いと言われています。
それだけに優秀な人材さえも職にあぶれる比率も高く、雇用市場には未だ豊富な人的資源を残しています。
またイギリス統治時代の影響もあり、他の南アジア諸国同様、英語を理解する人材の比率も高く、隣国インド以上のアウトソーシング大国になりうる可能性を秘めています。
日本は開発途上国支援の為、発展途上国を原産地とする品目(一部の例外品目は除く)を日本に輸入する場合に、通常の関税率より低いか、あるいは無税(Free)の特恵税率の適用を受けて輸入できる制度をしいています。
バングラデシュは日本にとって特恵受益国のうち、「特別特恵受益国」として認められた後発開発途上国(48ヶ国・地域)に当たり、特別特恵関税が適用され原則無税になります。
許容しうる労働時差
例えば中小企業は大企業と違い、24時間体制の連絡機能が整っていないところがほとんどです。
大企業でも必要性がない限り、同じことがいえるでしょう。
海外との取引にあたり、最高でも4時間以内の労働時差でなければ効率の良い連絡機能は果たせません。
中国との1時間時差、インドネシアやベトナムの2時間時差には後塵を喫しますが、バングラデシュは日本との時差は3時間。
日本との労働時間の多くをリアルタイムで共有できます。
バングラデシュは日本の中小企業との関係性において未だ「未開発市場」と言えるべき市場です。
そのポテンシャルに徐々に大企業の進出も増えていますが、他国への進出と比べると未だ少ないのが現状です。
その原因が「市場として魅力がない」というビジネス判断でしょうか?
ことバングラデシュに対しては総じて「知名度」、「情報量」の少なさが中小企業の投資の第一歩を鈍くしている事も大きな要因でしょう。
中小企業にとって最も大きいアドバンテージは「ライバルが少ない」という状況です。
豊富なマンパワーの仕入れ市場としても、今後の中間層の増加を見据えての販売市場としても、今からの進出でも「パイオニア」となり得る数少ないアジアの国です。
日本からの知名度とは逆に、バングラデシュの国民が持つ日本人への感情は「非常に親日的」と言うべきものでしょう。
国家としても「親日国」の一つに数えられます。
2007年度のジェトロ・ダッカ事務所のダッカ市内の大学で行ったアンケート調査によると「あなたの好きな外国は?」に第一位として日本、その次にアメリカ、イギリスという結果が表れています。
さらに「バングラデシュにとって重要な国は?」の質問に対しても第一位を日本、その後をアメリカ、インドが続きます。
ひとえに我々の先人たちの社会的貢献がこのような親日的感情を生み出しているのは紛れもない事実ですが、この親日感情こそビジネスにおけるパートナーシップとして最も恵まれた環境ではないでしょうか。
地理的優位性
バングラデシュは大国インドの隣に位置しているが故に目立ちませんが、逆にインドとの経済・文化交流も活発です。
インドではすでに企業進出も進んでいますが、例えばそこに分け入っての進出を計るよりも隣国バングラデシュから進出する事も戦略ではないでしょうか?
またバングラデシュが関わる様々な自由貿易協定(FTA)の参加国にはインド以外にもパキスタンやスリランカなどの巨大な人口を抱える南アジア諸国が、またD8(Developing8)と呼ばれる「穏健派イスラム 8ヶ国」で結ばれた特恵関税協定にはインドネシアやマレーシア、トルコなども含め、そのうちの7ヶ国が「Next11」にも選出されています。
その中でもバングラデシュが最も日本企業進出の後進国であり、翻ると「最も進出意義のある国」とも言えます。