バングラデシュにおける「選挙時内閣」とは?
現在、バングラデシュでは来年に行われる総選挙に対して「選挙時内閣」が作られるか、作られないかで議論が白熱しています。
選挙時内閣、バングラデシュの新聞では「poll-time government」や「caretaker government」と表記されます。
これは選挙の際に「臨時で作られる内閣」であり、選挙に対してあくまで第三者的関与をする機関です。
選挙が終われば、選挙の結果の中で選ばれた「新内閣」が仕事を引き継ぐため、〇ヵ月程度の短い内閣です。
ここで日本人が思うのが「選挙管理委員会」は無いの?
という事ですが、一応バングラデシュでも「選挙管理委員会」の立場で動く機関はあるようですが、時の内閣がその機関の要所に、自分たちの影響のもとに動く人間を入れたりするため、形骸化しています。
そのため次回選挙時にニュートラルな立場の「選挙時内閣」というものが形成されるかどうか議論が白熱しています。
最高裁判所は昨年の判決で「選挙時内閣」の項目を削除しました。
野党はそれに対して「選挙時内閣項目の復活」を要求しています。
この最高裁の決定にも「与党の根回し」が感じられます。
一応の民主主義国家を謳っているバングラデシュですが、こういうところに「法治国家」でなく「人治国家」の姿が垣間見れます。
三権分立が確立されていない証拠です。
与党党首であるシェイク・ハシナ首相は「一時的とはいえ選挙で選ばれていない人間が内閣を率いる事は良くない」というスタンスを述べています。
ハシナ首相の意見は「三権分立は確立されていて、最高裁の判断は与党の影響下で行われたものではない」
「選挙管理委員会があるのに、選挙時内閣が形成されるのはおかしい」というものです。
それは一理ありますが、「選挙管理委員会」が機能していない事に気づいている国民にはこの考えが浸透しません。
次回の総選挙は2013年の予定です。
バングラデシュは独立後41年経っていますが、その初期の半分は独立カリスマたちによる統治が長く、次回の総選挙で「5回目」の選挙というまだ若い国です。
今、本当の民主主義が形成されるかの瀬戸際を迎えています。