バングラデシュのビル倒壊事故に、建築安全性を考える。
4月24日にバングラデシュの首都ダッカ郊外にあるサバール地区で起こったビル倒壊事故は現在も多数の死者と負傷者が出ており、相当な被害をもたらしています。
サバール地区というと、日本人を含む外資系ビジネスマンにとってもなじみの深いところになります。
バングラデシュの経済特区ともいえるダッカEPZもこの地にあり、さらに「縫製工場」というとバングラデシュの現在の花形産業に当たり、今回の事故に見舞われた縫製工場も何らかの形で外資系企業とのつながりがあるのかもしれません。
またサバールにはバングラデシュで数少ないゴルフ場や、独立記念碑などもありビジネス以外で訪れた方も少なくないはずです。
今回の事故は、地震などの自然災害と複合したものではありません。
建築原因でのビルの倒壊になります。
何度もお話したように、バングラデシュのビルの建築過程は下記になります。
- 掘削後の基礎工事
- 床スラブおよび柱製作
- コンクリート打設
- さらに上層階へ
- 壁部分にレンガを敷き詰める。
この工程で気になるのが「柱の細さ&少なさ」、また「レンガの壁による荷重の分配」だと思われます。
耐震性に優れた日本の建築のプロから言わせたら、一目でその脆弱性に驚かれると思います。
もし地震が起きたら、まず壁のレンガの欠落が起こり、壁で荷重を分配していた脆弱で数量不足の柱が重みに耐えきれず崩壊するであろう、というのは容易に想像できます。
今回の事故は地震などの自然災害が複合した形ではなく、独立での崩壊のようです。
前日から壁にクラックが出ていたという情報もあり、コンクリート自体の劣化も考えられます。
とりあえず人命救助が第一に考えられますが、事故原因の追究も今後行われるでしょう。
それと共に、バングラデシュの建築物の危険性に警鐘を鳴らされる結果になれば、と思います。
やはり民間にどれだけ言っても「採算性」を考えると、手抜き工事などが発生する恐れがあります。
政府主導でなんらかの安全対策を必須にしていかないと、このような事故の減少は図られないように思います。
とにかく現在は、多くの人命救助が求められます。