ラマダン(断食)は苦行か? ラマダン月(断食月)について。
こちらでも何度も寄稿していますが、イスラム教を国教とする国では、1年に一度「ラマダン月」に於いて、「断食」が行われます。
「ラマダン=断食」と勘違いされやすいのですが、「ラマダン=9月(イスラム暦)」という月の名前として捉えるべきものです。
毎年ラマダン月に、イスラム教徒は断食を行います。
「イスラム教=断食」というくらい、イスラム教のイメージには欠かせない行事ですが、それゆえに日本人の多くの方には誤解されている事が多いです。
まず一つ目として「断食=苦行である」というイメージ。
宗教感の薄い日本人では特に、というところですがイスラム教自体が「厳格で厳しい宗教」と捉えられており、すわ「断食も苦行の一つではないか?」と思われる人も多いです。
ここではっきりしておきたいのですが、これについての答えは「ノー」です。
たしかに日中の飲食がはばかられることは、身体的に苦しいことに変わりはありません。
とくにイスラム教信仰の多いほとんどの国は、夏場に断食が行われるため、身体的には厳しいのは確かですが、断食と言うのは宗教的な行事であり、いうなれば「神(アラー)に近づける時期」と捉えられることも多く「Holy Ramadan(神聖な9月)」と言われることも多いです。
この時期は断食の苦しみよりも「神聖なる月」を迎える、として心待ちにしているイスラム教徒が多いのも確かです(その後の断食明けの祝祭『イード』控えている事もあります。)
「断食の苦しさ < 神に近づける神聖さ」という図式です。
1日の断食明けの最初の食事は「イフタール」と呼ばれますが、この時期は毎日のように友人や知人を迎えて各家庭やレストランでイフタールパーティーです。
「断食の月が最も食料消費量が多い」という有名は話もあります。
「毎日がパーティー」と聞くと、ようやく「ラマダン月が苦行でない」というイメージに結びつくかと思いますが、「パーティー=乱痴気騒ぎではない」という事を忘れないようにしてください。
2つ目に「ラマダン時期に日本人はイスラム諸国に出かけられないのではないか?」という事です。
これについても「大丈夫」と言うべき話です。
断食は「病人、妊婦、子供、旅行者」などはしなくても良い、という事になっています。
日本人などは「旅行者」と同様であるため、決してイスラム教徒と同様に断食をしなくてはならない訳ではありません。
イスラム諸国にも一定数の異教徒がいる国も多いため、「同一国民でも断食をしていない」という現象も起こり得ます。
ですので、日本人がこの時期にイスラム諸国に出向き、つらい思いをするわけではありませんが、街のレストランなどは閉まっている事も多いのは事実です。
こうなると「望まぬながら断食している」という情況になってしまいます。
その場合は観光名所や、外国人が訪れやすい場所に向かってください。
そういうところでは「閉めているようで開いている店」が、手招きして呼んでくれます。
もちろん開業が違法ではありません。
大多数が断食中なので、「気を使って閉めている」という感覚の方が合っていると思います。
同様に、手持ちのペットボトルの水などを飲むときは、なるべく隠れて飲んでください。
訪れた国の習慣に「一定のリスペクト(尊敬)」をするべきかと思います。
上記に挙げたように、イスラム教における断食は日本人のイメージとは離れたものがあるかもしれません。
この時期の渡航を避けられる方も多いですが、逆にこの時期にイスラム諸国に訪れて、普段とは違った生活を垣間見るのも醍醐味かもしれません。
ただし、日中にあまり隠れて食事をしていると、イフタールの時間に「イフタールパーティーにお呼ばれ」して、食べきれなくなる事も多いので、ご注意を。。。