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今回のバングラデシュ政権崩壊は「軍のクーデター」でも「イスラム主義勢力台頭」でもない

2024年8月7日

今回、バングラデシュで起こった政変は、同日におきた「日経平均株価大暴落」のニュースの陰に隠れてしまい認知されにくい状況でしたが、日本でも1日をおいて徐々に報道で取り上げられ始めました。

そのニュースを一通り見たうえでですが、一部の報道に於いて「この捉え方は違うのでは?」と思った点があります。

バングラデシュは日本では一般的にさほど認知度の高い国ではないため、この誤解はしょうがない所がありますが、後追い報道がなく誤解のままでは今後のバングラデシュの見方が変わる懸念もありますので、一度整理したいと思います。

それは以下の3点です。

  1.  今回は「軍によるクーデターによる軍事政権樹立」ではない事。
  2.  イスラム主義勢力の台頭ではない事

  3.  野党が勝利したわけではない事。

まず第一番目、「軍によるクーデターによる軍事政権樹立」ではない事です。

「ハシナ政権が崩壊後、軍による暫定政権が発足の予定」と報道されると、今回のデモの前後を知らない一部の方には、「軍によるクーデターが起こり、軍事政権樹立」と考えられる方もいるかと思います。

これは全くの誤解です。

今回の政権崩壊は「軍によるクーデター」ではありません

市民デモの過激化」による国内混乱に収まりが見えず、ハシナ首相も辞任したため、公平な立場として軍のトップが前面に出て「いったん落ち着きましょう」という事を表明しただけです。

今後発足される暫定政権を軍がリードし軍事政権化するわけではなく、大統領により議会が解散が宣言されたため、今後総選挙が行われます

もちろん選挙なので軍関係者が立候補することもできますので、結果的に「軍関係者の多い政権が発足する可能性」がないわけではないですが、あくまで「選挙」が行われたうえでの結果ですので、「政権を軍が強奪する」という状況ではありません

では「選挙が誠実に行われるか?」に関してですが、現在「権力を持つ政権与党がない状態」であるため、「不正的な選挙」を行おうともできず、一歩間違えばまた「国内動乱の可能性」もあるので、「暫定政権下で極めて公平に行われることを前面に出して行われる」と予想されますし、実際そのようになる事を強く望みます。

 

第二としては「イスラム主義勢力の台頭ではない事」という事です。

一部の報道では「イスラム主義政党が次期政権を担うと、イスラム主義が加速し、日本との距離が遠ざかるのでは?」という報道もありましたが、これもおそらくないと思われます。

イスラム教になじみのない日本ですので、イスラム教の国でクーデターが起こると「すわ、イスラム教原理主義か?」と思われがちですが、そうではありません。

確かにバングラデシュの国教はイスラム教であり、イスラム教に対して真摯的ですが、実情は極めて世俗的です。

今回の政権転覆は、イスラム原理勢力の政権奪還では全くありません。

上記に挙げた通り、「市民デモの過激化による政権崩壊」です。

それでは、次期政権がどうなるのか?

近年のハシナ政権(与党アワミリーグ)の下では、国会議席をとっておらず、弱体化は指摘されていますが、おそらくバングラデシュ国内での第二勢力は「BNP党(バングラデシュ民族主義党)」だと思われます。

次期選挙で、BNP党が政権を担うのかは全く分かりませんが、「BNP党=イスラム原理主義政党」ではありません。

バングラデシュでは「Jamaat-e-Islami党」のように、イスラム主義を前面に押す党もありますが、政権首班になるほどの勢力はもっていません。

 

第三に「野党の勝利ではない事」です。

今回の学生デモは、先ほど挙げたBNP党が先導したわけでもなく(最終的に学生デモから発展した反政府デモに対しては、BNP党支持者が多く参加したとは思われますが。。。)、BNP党が「勝利宣言」したとしても、学生デモ側は「いや、BNP党を支持したわけではないんだけど??」となるように思われます。

またイラク戦争時の「フセイン像」を倒す場面が象徴的場面になったように、今回もハシナ首相の実父であり、建国の父である「ムジブ・ラーマン初代大統領」の像を倒す映像も出ていましたが、これも冷静な国民からは「今回のデモに関係ないのになんで??」というマークが頭に出たと思います。
(現地大手新聞デイリースター紙でも、「(いくらハシナ首相の実父であっても)ムジブル・ラーマン初代大統領が当時のパキスタン政権に対する解放戦争に貢献したことを忘れてはなりません)とキャプションが付けられています)

一義的な勝利者としては、「就職機会の公平性を少しでも改善させた学生デモ側」でしょう。

しかし、今回のデモの発端となった学生デモ組織も、特定政党に肩入れした行為ではないため、次期政権の首班がどうなるのかは見えないところです。

とにかく現地では「市民の力で政権を倒した」という興奮の中、政権崩壊により行政が機能していないため、警察や治安部隊も自らの動きに責任が取れず、動きが取りにくい状況の様であり、それに伴う「略奪」や「破壊行為」が行われているところもあり、新聞では「落ち着くように」「破壊行為はおかしい」という論評も出ています。

とにかくまずは早く暫定政権が発足され、「治安の維持」が行われることを望みます。

詳しい記事はこちら

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