自国民への保険制度に考えるバングラデシュと日本、そしてアメリカ
バングラデシュの2014年8月10日付けの新聞で「バングラデシュで国民皆保険制度運用を検討」というものがありました。
日本はご存じのように国民皆保険制度。
医療機関に掛かる方は、窓口にて自己負担3割で治療が受けられます。
その分、国民から広く「保険料」を徴収しているが故、簡単に言うと「健康な人たちが、不健康な人たちを支えている不平等な制度。ただし健康な人がいつ不健康になるか分からないから、良いよね?」という制度です。
さてしばらく前もアメリカでデフォルト寸前までくすぶった「オバマケア」
この「オバマケア」もアメリカの「保険改革」に関しての通称です。
アメリカはご存じのように国民皆保険でない為、自分が様々な保険会社を調べ、自分にあったようにプランを決め加入していく、という考えです。
さすが自由の国、アメリカ
「保険に入るのも、入らないのも自由。それが最も平等であり、強制されるものではない」という考えです。
正直、保険に対する日本の考えもアメリカの考えも、それぞれ一長一短があります。
ただし、これに対しての「国民の考え」が、その国の文化に左右されます。
なにもかもに慎重な日本人。
自由の国、自己責任の国 アメリカ
オバマ大統領が「オバマケア」によって、保険制度改革を試みたものの野党共和党が強硬に反対するのも分かる気がします。
翻ってバングラデシュ。
この国でも現在保険に入っていない国民がとても多くいます。
それをバングラデシュ政府は「国民皆保険制度」へ舵を切りたいようです。
ここで問題になってくるのが、アメリカ・日本と違い「アジア最貧国」といわれるバングラデシュであるという事です。
アメリカの「保険未加入者」と同等の4800万人が「貧困層」という国です。
彼らに対して、しばらく国庫からの補助金支出も考えているそうですが、やはり原資になるのが「保険料徴収」
国政調査も、人口統計もままならなく、しかも収入が安定しない国民に対して、これが上手くいくのかが非常に疑問なところです。
ではなぜバングラデシュ政府がこれを推し進めたいか?
やはり「国民皆保険」と言うの「耳触りが良い政策」に聞こえますが実情は「中央で国民のお金をなるべくコントロールしたい」というのが本当の狙いでしょう。
現在バングラデシュは、「与党」の力が強く、「一党独裁」に近い形に見えます。
その中で、今のうちにやってしまえ、といういわゆる「強硬策」でしょう。
日本人も今までは従順であり、「国民皆保険」にも懐疑的な考えを持っていませんでした。
ですが現に「年金制度破綻(払い負け)」は目の前に確実にきますし、医療費支払い免除の生活保護受給者が「保険適用可能な整骨院」で「どうせタダだから」とマッサージ代わりに訪れる現状を知ると、だんだんと「国民皆保険」に関しての懐疑の目も増えてきます。
これは「国民皆保険制度」が何も変わったわけでなく、日本の「文化」が変わったことによるものです。
先ほども上げたように「中央が管理する国民の保険制度」というのは、中央政府であればできれば作り上げたい制度です。
ただし、それに対しての国民の考えが「懐疑的」であると、アメリカのように「自由に行うべきだ」という反発もあるでしょう。
バングラデシュはどちらを選んでいくのか?
まだしばらくくすぶると思いますが、先行きを注視しましょう。