観光業における中国市場とイスラム市場とハラル・フード
日本における観光業は、中国のバブル経済成長と共に増加する中国人観光客をターゲットに様々な変化をもたらしてきました。
大手百貨店などは「中国語」を話せる人材確保に走り、また決済に関しても中国で広範囲に使われるデビットカード「ユニオン・ペイ」に対応するなど、中国人観光客取り込みに必死です。
やはり中国13億人市場は魅力なのでしょう。
統計的にみても、日本に訪れる各国の観光客の「消費動向」を見ると、中国をはじめとするアジア各国からの観光客の方が北米をはじめとする欧米諸国より大きなお金を落としてくれる、という状況が垣間見えます。
さて将来的な中国の経済成長鈍化と共に日本の観光市場は次にどこを目指すべきか?
中国13億人と同様の12億人市場を持つ「イスラム社会」という市場を見逃す手はないと思います。
幸運なことに、日本はバングラデシュを含むイスラム諸国からは比較的「好感度の高い国」になります。
「時間と余裕があるのならば日本を訪れてみたい」と思う人が多いのも事実です。
ですが逆に移民などの少ない島国であった日本の方が「イスラム社会」について無知な部分があります。
それが「イスラムの習慣」
例えばイスラム教徒が日本を訪れる際に最も困るのが「食生活」
イスラム社会はご存じのように「豚などを不浄なものとして食べない、口にする動物は宗教的に定められた順序で屠殺される」などの習慣があります。
イスラム諸国やムスリム街によく見られる、いわゆる「ハラル・フード」です。
新疆ウイグル自治区に多くのイスラム教徒を抱える中国、また「アラブ人地区」を持つシンガポールやタイなどの東南アジアは、そのような習慣に慣れ親しんでいるのでイスラム諸国からの観光客も、食生活には困らない状況です。
また空港などには「祈祷室」を設けているところもあります。
しかしながら日本ではまだまだイスラム教になじみがなく、日本の土地勘に慣れていない多くのイスラム教徒が「食事」に困っている状況です。
そこで盛況なのが「回転寿司」
ここなら大丈夫だという事でこぞって回転寿司を訪れるようです。
しかしもともとは菜食や海産物が重要な食源だった日本。
こういったことの対応に関しては、もっとも容易であり、また日本的な姿も見せられます。
ぜひ外食産業は「ハラル・フード」の研究をし、大々的にイスラム諸国の観光業者にアピールするのも一つの手ではないでしょうか?
ツアーの中に組み込まれれば大きな成長が見込めると思います。
12億人というイスラム市場、そろそろ日本も本腰を入れてビジネス・ターゲットにするべき市場かもしれません。