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ダッカにおける人質事件に関しての見解
すでに多くの方が周知している事件ですが、バングラデシュ首都ダッカにおいて日本人を含む人質事件が発生。 残念なことに7名の日本人を含む、多くの犠牲者が出る結果になりました。 現場である「Holey Artisan Bakery」は2年ほど前にできたばかりのイタリアンをメインとしたレストランで、店内にベーカリーも併設、日本並みの価格帯の食事でバングラデシュの生活基準からは大きくかけ離れているものの、芝生広場など敷地を贅沢に使った落ち着いた場所です。 その金額から、バングラデシュでも特にダッカ在住外国人もしくは現地富裕層に客層が限定され、当機構駐在員も何度も足を運んだ場所になります。 「グルシャン2」と呼ばれる立地自体も首都ダッカの最高級住宅街であり、その住宅街の突き当り、となりに静かな湖もあります。 このレストランはダッカ在住外国人に有名で、世界最高の人口密度と言われるダッカの喧騒を離れることができる場所として毎日のように外国人が訪れる事で有名でした。 今回の犯人は、おそらくその事情を知ったうえで、明らかに「外国人をターゲット」とする犯行を企てたものだと思われます。 バングラデシュではここ数年、政情不安が続き危険度が上がっており、昨今のイスラム国の台頭以来、政情不安にプラスする形で、毎週のように「国内の異教徒」に対するテロ行為が続いていました。 事件前日も、ダッカ西部ジュナイダ県において少数派ヒンズー教徒が殺害されるという事件があったばかりでした。 しかし、どの事件も「国内の異教徒」をターゲットとしたものであり、今回のような「外国人をターゲット」とするものは想像はあれ、現実的な話として予期できなかったのが正直な思いです。 バングラデシュを含めイスラム圏では、現在約1か月に及ぶラマダン月(断食月)が佳境に入っており、7月5日前後に「断食明けの祝祭(イード・ウル・フィトル)」が祝われる予定になっておりました。 こちらの記事で何度も記したように、イスラム教徒にとって「ラマダン月」はただ単に「断食をする時期」という訳でなく、大切な宗教的行事であり、「ホーリー・ラマダン(聖なるラマダン)」と言われ、1年の中でも特に「宗教観の高い時期」になります。 この宗教観の高い時期に、何かしらその宗教観を曲解したテロに近いことがある可能性を考えて、「十分注意した行動を」というインフォメーションが在バングラデシュ大使館から流れていたものの、それが現実の形になったことは、バングラデシュと日本をつなぐサポートをする我々もショックを隠し切れません。 当機構駐在員は、休日だったために自宅で過ごしており、夜分大使館から一斉送信される危険情報を確認し、その後は外出をすべて控えており無事です。 事件は日を跨ぎ、朝方に現地当局の突入があり収束しましたが、残念なことに日本人を含む多くの被害者が発生しました。 すぐにバングラデシュ現地パートナー企業などから安否確認の連絡があり、その誰もが「バングラデシュでこのような事件が起こったことは想像できない。被害にあった日本人、外国人に対して大変申し訳なく思っているし、あなた達と同じように心を痛めている」という言葉をもらっています。 今回の被害は決して「日本人をターゲット」にしたものではありません。 「外国人をターゲット」にした犯行現場に、たまたま日本人が遭遇してしまった不運な状況になります。 バングラデシュは親日国で知られており、比較的外国人にも安心できる国の一つでした。 しかし上記に上げたように、イスラム国の台頭以降、バングラデシュ国内におけるある一定の人たちは、イスラム国の理念に勝手に共感し、シンパシーを感じて行動を起こしています。 バングラデシュは、日本を超える人口1億6000万人の「人口大国」です。 日本国内でも様々な考え方があるように、これだけの人口を抱えている以上、ある程度の「過激思想」を持つ人が一定数存在するのは否定できません。 インターネットの普及と、それに伴う思想の伝播で、「この事件のような可能性」を否定できる国はすでに無くなったのかもしれません。 それでもなお、生活やビジネスは通常に行わなければならない、難しい時代に入ったともいえるでしょう。 我々は、経験豊富な現地日本人駐在員を有し、バングラデシュの事情のしっかりした把握に努めております。 卑劣なテロに屈せず、日本とバングラデシュとの企業連携サポートをこれからも行っていきます。 最後に重ねてお伝えしますが、多くのバングラデシュ人は日本を愛し、日本人を愛しています。 バングラデシュ人の誰もがこの事件に、日本人同様に胸を痛めている事をお伝えいたします。