バングラデシュの最低賃金と所得税の関係
現在、バングラデシュの縫製業における最低賃金は非熟練工下級レベルで月当たり68ドルとなっています。
これは先日起きたバングラデシュでの大規模縫製ビル崩壊事故による「労働環境の悪さ」などが注目を浴びたことから労働者の権利向上を求める声が上がり、2013年に制定された金額です。
左の表を見てもらっても分かるように、まだまだ「労賃の安さ」に関しては他の国に比べ安価な状況です。
労働者からは月100ドルを求めたようですが、やはりバングラデシュの人口から考えると、急激な労賃の増加は労働者自身の働き場を無くす可能性も有るため、この68ドルというラインで落ち着いたようです。
さて、この68ドルで計算するとバングラデシュの人々は所得税として、どれだけ払っているのでしょうか?
現在のドルータカ・レートで68ドル=5270タカ(2014年10月現在)です。
バングラデシュでは年間基本給220000タカまでは無税となっています。
となると月当たり18340タカ収入の労働者に関しては所得税がかかりません。
この18340タカという金額で、実質どれくらいのレベルの人材が雇用できるのか?と言うと、現実的な感覚で、「一般大卒者でも雇用できるレベル」と言うのが実情です。
首都ダッカやチッタゴンなど大都市の一般大卒者に関しては、労使関係で基本給提示に対してはギリギリのラインだと思われますが、大都市を除けば十分に大卒者を雇用できる金額です。
もちろん一般大卒者以上の人材は人口の中でも少数です。
そうなると現在、バングラデシュでは大変多くの人間が税金を払う必要がない状況に置かれています。
しかし国を運営していくための税金徴収は免れません。
ではどこでとっていくのでしょうか?
例えばバングラデシュの中古車は、輸入関税150%以上と言われます。
日本で100万円の価値がある中古車をバングラデシュに輸入する際、150万円近くの税金を政府に納入するわけですね。
また法人税は37.5%です。
現在の世界情勢を見てみると、けっして低い税率ではありません。
日本人労働者は、バングラデシュで仕事をする限り月1000ドル~2000ドルの所得を「最低賃金」として取らなければいけません。
実質、それだけ賃金を得ているかどうかは別として、この賃金を基に個人所得税が決まりますので、日本人労働者はすべて所得税を払っている状況になります。
その他にも様々なところで税金徴収はされています。
しかしもっとも大きい所得税の部分での徴収が少ないのが現状です。
やはり政府としては経済状況をあげ、国民の所得を伸ばし、健康的に徴収をすることを考えています。